Ichthus School of English イクサス通訳スクール

Ichthus School
of English

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TOBIS(トービス)は「Test of Business Interpreting Skills(ビジネス通訳検定試験)」の略称です。

ビジネス現場で必要とされる実践的な通訳力を評価する日本発の検定試験で、主に英日・日英の逐次通訳や同時通訳の能力を測ります。

特徴としては以下の点が挙げられます:

  • 試験形式:逐次通訳と同時通訳の実技試験を中心に構成。筆記試験はなく、実際の音声を使った通訳パフォーマンスが評価されます。オンラインで受験できます。

  • 評価基準:通訳の正確さ、表現力、聞き取りの精度、情報処理力、自然な英語・日本語の運用力など。

  • 等級:一般的に2級(上級逐次通訳レベル)と1級(同時通訳レベル)の二段階があり、1級は難易度が高いとされています。

つまりTOBISは、通訳者 (企業内通訳者)としての実力を客観的に証明できる国内有数の実技検定試験です。

TOBIS 1級 受講生の合格体験記

 

A.Y.さん(受講歴1年1ヶ月)

1級合格書(講評)

☆ 受講生個人の講評ですので全体に「ぼかし」を入れています。

 

私のイクサス通訳スクールとの出会い

私は日本とインドの間で人材ビジネスをする企業に務めています。通訳者ではありませんが、二国間の会議を両言語でファシリテートすることが多いです。通訳技術が仕事で生きるのではないかと思い、2023年10月から約1年間大手通訳スクールで学びました。その後、もっと学びたいと思い本校に入学しました。

 

入校を決めたのは、イクサスのホームページに掲載されていたJay先生のサンプル通訳でした(※)。元IMF専務理事のスピーチを、まるで水が流れるように通訳されている音声を聴き、「この方に学べるのか!」と高揚感を感じながら申し込みを決意しました。

(※)ホームページの「無料体験・コース」 > 「通訳トレーニング総合」 をクリックし、下にスクロールして出てくる「サンプル通訳①を聞く」で聞ける音源です。

 

イクサスで学びながら、TOBIS 1級に合格

私は2024年9月からイクサスで学び始め、現在(2025年10月時点)も受講しています。

学習の一環としてTOBISを目標に据え、段階的に挑戦しました。

2024年12月: TOBIS 2級(逐次通訳)を受験し、合格

2025年7月: TOBIS 1級(同時通訳)を受験し、合格

 

受講開始からTOBIS 1級受験までに、約30回のレッスンを重ねました。その1回1回が、「通訳」というものに対する理解が深まる、濃密な時間でした。

 

TOBIS合格に向けて様々なテーマを網羅

TOBIS 1級合格に向けては、試験対策にとどまらず、Jay先生とともに幅広いテーマで通訳訓練を行いました。扱ったテーマはビジネス、政治、科学、文学など多岐にわたり、いずれも現代の時事に即した内容でした。国際的に通用する教養を身につける貴重な機会にもなりました。

以下は、受講期間中に取り組んだ主要テーマの一覧です。振り返ると、1年間の授業がそのまま時代を横断する知のロードマップのようにも感じられます。

 

各授業にて、扱ったテーマ一覧

2024/09/01 自動車会社 車両認証不正事件【英日/逐次】

2024/09/15 (上記の続き)【日英/逐次】

2024/09/23 日米同盟記者会見【英日/逐次】

2024/09/27 (上記の続き)【英日/逐次】

2024/10/06 強制不妊手術【日英/同時】

2024/10/13 女性起業家のスピーチ【英日/逐次】

2024/10/20 米国副大統領 国境問題についてのスピーチ【英日/同時】

2024/10/27 日本首相のスピーチ【日英/逐次】

2024/11/04 TOBIS 2級 模試 YoungCompanies/成長戦略【英日/逐次】

2024/11/24 Neuroscience(神経科学)【英日/逐次】

2024/12/08 アメリカと東アジア【英日/同時】

2024/12/12 TOBIS 2級(逐次通訳)受験

2025/01/12 文学作家のインタビュー【英日/逐次】

2025/01/19 Dante Alighieri: The Divine Comedy【英日/逐次】

2025/02/27 米国上院議員のインタビュー【英日/逐次】

2025/03/06 ドイツの選挙(AfDを取り巻く環境)【英日/逐次】

2025/03/20 卒業式の祝辞【英日/逐次】

2025/03/27 「日本」を研究する【日英/逐次】

2025/04/02 人をどう見るか【日英/逐次】

2025/04/23 対人認知・自己理解【日英/同時】

2025/04/30 イギリスの情報機関のスピーチ【英日/逐次】

2025/05/08 ビジネスと社会の課題【日英/逐次】

2025/05/15 英国・ロシア・中国をめぐる戦略的課題【日英/逐次】

2025/05/29 トランプ時代のアメリカと憲法秩序の試練【日英/逐次】

2025/06/04 TOBIS 1級 模試 物流会社代表スピーチ【日英/逐次】

2025/06/11 TOBIS 1級 模試 Shareholder Relations【日英/同時】

2025/06/18 TOBIS 1級 模試 循環型経済【日英/同時】

2025/06/25 通訳の現場から【日英/同時】

2025/07/01 TOBIS 1級 模試 起業買収【英日/同時】

2025/07/10 TOBIS 1級 模試 熱波と観光業【日英/同時】

2025/07/13 TOBIS 1級(同時通訳)受験

(以下、参考までにTOBIS受験後のテーマも記載)

2025/07/15 日本の ODA(逐次通訳)【日英/逐次】

2025/07/22 日本の ODA(同時通訳)【日英/同時】

2025/07/29 通訳者の職能【日英/逐次】

2025/08/05 ビジネス通訳の基礎問題【日英/逐次】

2025/08/26 通訳者の職能(続き)【日英/同時】

2025/09/03 トランプ時代のアメリカと憲法秩序の試練【日英/同時】

2025/09/17 アフリカホームタウン構想【日英/逐次】

2025/09/23 日本の政党の党首スピーチ【日英/逐次】

2025/09/30 ビジネス交渉の破談と再発防止策【日英/同時】

 

体系的な授業で効率的に学習

授業は毎回、以下のような流れで進みます。通訳者であり、大学教授であり、そして行動科学者でもあるJay先生ならではの、理論と実践が融合した体系的な授業です。

 

授業当日

・先生が用意した5分〜20分程度の音源に対して、私が通訳を行います。

・先生は私の通訳をリアルタイムで聞きながら、録音と自動書き起こしを行います。

・通訳後、先生から丁寧なフィードバックをいただきます。内容は「訳出の正確さ」だけでなく、通訳者としての心構えや背景知識、そして通訳者としての在り方にまで踏み込んだものです。

 

授業後

・音源ファイル(原音、先生の模範通訳、自分の通訳)すべて提供されます。

・さらに、原音の書き起こし、先生の模範通訳書き起こし、自分へのフィードバックが文面で共有されます。

・時には、同じ教材に対する他の受講生の通訳音源も参考としてご共有いただけます。自分との比較を通じて気づくことが多く、大変学びになります。

 

次回の授業までに

・授業によっては、事前課題やワードリストが提供され、予習を行います。

・こうした準備段階も含めて、毎回の授業が一つの完成したトレーニングサイクルとして設計されています。

 

先生の教材で復習ルーティンを回す

通訳力の向上には、自習をルーティン化して継続することが重要だと思います。私は次のようなルーティンで復習を行っています。

 

教材をスマホに保存する

・授業の音源をiPhoneに入れる

・原音と先生の模範音源の書き起こしもiPhoneのメモに入れる

 

逐次通訳の復習

・原音をポーションごとに聞き、声に出して訳してみる

・つまずいたところは先生の模範音源を確認する。

・どう表現することが「自分らしい訳出か」を考える(先生の表現を丸暗記するのではない)

・新しく学んだ表現は、自分が使うときでも自然に使えるよう、イメージトレーニングしながら発話する

 

同時通訳の復習

・原音を聞きながら、同時通訳していく

・躓いたところは、原因を分析する

・当時通訳は自分の処理スピードが追いついていない部分があるはずなので、その要因(背景知識・単語・構文処理)を特定して対策する

 

▼例:授業で扱ったテーマの対訳をiPhoneのメモ帳に入れ、復習に活用

 

▼例:iPhoneのプレイリストに音源を保存

原音、先生の模範通訳、自分の吹き込んだ音源 等をプレイリストに保存し、いつでも聞けるようにする

 

Jay先生の授業で最も役に立ったこと

TOBIS 1級の本番で最も役に立ったのは、Jay先生から授かった体系的な同時通訳の技術でした。

当初、同時通訳は「気合いと反射神経の勝負」だと思っていた私にとって、先生のアプローチは驚くほど理論的で実践的でした。

 

先生から教わった中で、特に重宝している技術が2つあります。

 

  1. 日本語の骨格が不明確なときは、独立分詞構文で逃がす。

例えば、

 

・日本は躊躇していますが、

・Japan being hesitant,

 

と、いったん訳出しておけば、後続がどんな展開でもスムーズに接続できます。

 

・日本は躊躇していますが、米国は積極的です。

・Japan being hesitant, U.S. is proactive.

 

文頭で迷う時間がゼロになるこの技術は、緊張で思考が止まりそうな場面で大変頼りになります。

 

  1. 固有名詞が多い挨拶では、語順を崩さず処理する

 

・株式会社◯◯の△△(役職)の□□です
・Representing ◯◯, I serve as △△, I'm □□.)

 

このようなパターンを身体で覚えておくことで、複雑な日本語の肩書きにも動じず、自然なテンポで英訳できるようになりました。

 

他にもTOBISに限らず、Jay先生の授業は“通訳者としてどう生きるか”という哲学まで踏み込んでいます。例えば、

 

・物議を醸す発言を、いかに通訳者は訳すべきか

・話者の声が音源トラブルで7割しか聞こえない場合、どう対処するか

・表面的な言葉だけでなく、スピーチの「論理構造」、さらには話者の「思考構造」をどう捉えるか

 

先生のフィードバックは、語彙や構文の話にとどまりません。通訳とは、単に言葉を置き換える作業ではなく、他者の思考の構造を再構築する行為であり、その実践方法を授業を通して叩き込まれている実感があります。

 

最後に

私は現在、社内通訳や会議通訳の仕事を専業で行っているわけではありません。しかし、日々さまざまな国籍の方々と働く中で、「適切なシーン、言語、言葉で人の心を動かす技術」は欠かせません。

 

職業としては通訳者ではありませんが、私は複数の文化圏・言語圏をブリッジするプロフェッショナルでありたいと考えています。その姿勢は、プロの通訳者が持つマインドセットと本質的に重なる部分が多いと感じます。

 

Jay先生の授業を通してTOBIS 1級の合格のみならず、国際的なビジネスパーソンに必要な視点も学ぶことができました。先生との通訳訓練のおかげで、海外のビジネスパーソンからも信頼され、円滑なコミュニケーションが取れるようになったことも実感しています。引き続き、Jay先生の学びに溢れるレッスンを継続して参ります。

 

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